計算力とは
計算力とは、数字を理解した上で計算をする能力であり、計算の速度だけではなく、論理的な思考力や計算の正確さなども含みます。つまり、数字に関わる問題を解く際に関わっている能力すべてを指します。
計算力は、中学、高校、大学の入試などにおいて非常に役立ちますが、将来、家や車などの何か大きな買い物をするときや仕事で計算をするときなどの様々な場面においても役立ちます。
日本の小学校低学年の計算力は世界的に見ると低い
スプリックス基礎学力研究所が2020年にアジアや欧米などの11か国を対象に行った調査によると、日本の小学校低学年(6〜9歳)の計算力は11か国中9位。
また、意識調査においても「計算が好き」と答えた割合は57.1%(11か国平均77.8%)、「計算には自信がある」と回答した割合は49.1%(11か国平均76.9%)と平均を下回っています。このように小学校低学年の計算力は世界的に見ると低いことが分かります。
小学生におすすめの計算力を高める方法
計算力は日常に計算を取り入れたり、習い事に通ったりすることで、高めることが可能です。ここからは、小学生におすすめの計算力を高める方法を5つ紹介します。
・習慣的に練習問題を解く
・買い物時に暗算する習慣をつける
・効率の良い解き方を考えて解く
・時計を図って練習問題を解く
・そろばんや公文など計算力を高められる習い事をする
習慣的に練習問題を解く
計算力を高める方法のひとつ目は、習慣的に練習問題を解くことです。計算力はすぐに身に付くものではなく、繰り返し計算ドリルの問題を解くことで身に付けられます。そのため、毎日10分だけでも問題を解く時間を確保し、計算を習慣化しましょう。日々の練習問題には、まずは簡単な計算ドリルや楽しめる教材を使って、慣れていくことをおすすめします。
ただし、子どもが自分一人で勉強習慣を身に付けるのは難しいものです。ご家族の方が習慣的に声掛けをして、机に向かわせるようにしましょう。「一緒に計算練習しよう」などと声を掛けることで、子どももやる気が出やすくなります。また、最初は簡単な問題から取り組むとクリアしやすく、徐々にやる気スイッチが入っていくのでおすすめです。
買い物時に暗算する習慣をつける
計算力を高めるために、普段の買い物時に暗算する習慣をつけることも効果的です。例えば、買い物をしたときには「300円のお菓子を買うために500円のお金を払うと、お釣りはいくら?」と、頭の中で計算するクセをつけさせてみましょう。子どもが自分で考えて計算できたときには褒めてあげればやる気が出て、積極的に計算する習慣が身に付きます。
効率の良い解き方を考えて解く
日常生活や練習問題を解くことで計算に慣れてきたら、効率の良い解き方を考えて解くことで、さらに計算力を高められます。効率の良い解き方とは、少し意識をして計算時に工夫することです。
計算の工夫方法の代表的なのが「足して10」や「足して15」、「掛けて100」になる組み合わせを覚えておく方法です。これらのパターンを覚えておくことで、2桁の掛け算や足し算をするときに、数のまとまりから簡単に計算しやすくなります。
時間を計って練習問題を解く
計算力には正確さのほかに、計算する早さも必要となります。日々の練習問題の繰り返しで正解数が増えてきたら、時間を計りながら練習問題にチャレンジしてみましょう。
使用するのは同じドリルや問題集で構いません。「5分間で何問解けるか」「1枚のプリントを何分でクリアできるか」といったゲーム要素を取り入れると、集中して取り組めます。制限時間を設定した練習を繰り返すことで、短時間で素早く解けるようになります。
そろばんや公文など計算力を高められる習い事をする
そろばんや公文など計算力を高められる習い事をするのも、効率的に計算力を高めるのに有効です。自宅で行う学習では得られないような、プロの講師による学習法やサポートが受けられます。
そろばんも公文も計算力の基礎となる計算速度や正確さ、考える力などが身につくので、おすすめです。それぞれの習い事についてはこの後詳しく解説するので、参考にしてください。
計算力を高める習い事
ここでは、計算力を高めることのできる習い事を2つ紹介します。
・そろばん塾
・学習塾
そろばん塾
そろばん塾は、計算力を高める習い事としてよく知られていますが、計算力の中でも特に計算速度や計算の正確さを高めることができます。また、9桁同士の足し算や引き算、3桁同士の掛け算などの答えが大きくなるような計算も、そろばんを学ぶにつれて暗算でできるようになります。
なぜなら、そろばん塾ではそろばんを用いて計算をするため、それが習慣になると、計算時には、あたかもそこに計算機(そろばん)があるかのように計算できるようになるからです。
計算機があるのとないのとでは、当然ある方が計算速度や正確さ、桁の大きい計算において有利といえます。
また、授業料が安いこともメリットとして挙げられます。(詳しくは以下の”そろばん教室の月謝”に書いてあります。)
学習塾
学習塾は、そろばん塾とは異なり、計算時に工夫をする力を高めることができます。
なぜかというと、学習塾では様々な種類の問題を数多くこなすため、計算をするときにある規則性を探すことが習慣になるからです。
また、そろばん塾ほどではないですが、計算速度の向上したり、授業を先取りしたりすることができることも大きなメリットと言えます。
ただ、1つ大きなデメリットがあります。それは、授業料が高いことです。週に2回の授業で月の授業料は、集団指導でおよそ15,000円前後、個別指導ではおよそ25,000円前後となっています
計算力アップ以外にそろばんを学ぶメリット
ここまで、そろばんを学ぶことによって計算力を高められることについて、紹介してきました。それ以外にも、そろばんを学ぶことには多くのメリットがあります。ここでは、その中でも特に大きなメリットについて紹介します。
・算数の苦手意識をなくしやすい
・集中力が上がる
・記憶力が上がる
・想像力、創造力が上がる
・判断力や情報処理能力が高まる
算数の苦手意識をなくしやすい
国際教育到達度評価学会(IEA)が2019年に行った調査「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)」によると、「算数が好き」「算数が得意」と回答した子どもの割合はどちらも国際平均を下回っています。
しかし、そろばんを早くから習うことで数字に親しみ、計算力や暗算力など、算数の基礎力を養うことが可能です。その結果として、学校の算数の苦手意識がなくなり、自信を付けやすくなると言えます。
参照:国際教育到達度評価学会|国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)
集中力が上がる
そろばんを用いた計算では、もっとも簡単なもの1つで指先を数十回、難しいものでは何千回も動かさなければならず、かなりの集中力を使います。
また、計算中は指先を動かすのと同時に頭で考える必要もあるため、そろばんを学べば集中力を鍛える機会が増え、集中力を高めることができると言えます。
参照:研究者による実証研究 | 公益社団法人全国珠算教育連盟 (soroban.or.jp)
記憶力が上がる
記憶には、左脳を用いた論理的な記憶と右脳を用いたイメージ記憶の2種類があります。
そろばんを用いた計算では右脳を使うため、そろばんを習うことで右脳で記憶を行うようになっていくことが多いです。右脳の記憶容量は左脳の数千倍と言われるほど大きく、以上のことから、記憶力が大きく向上すると言えます。
想像力、創造力が上がる
そろばんを習うと、計算をするときにそろばんのイメージが頭に浮かぶようになりますが、日本医科大学の河野貴美子先生の研究によれば、そのようにイメージを用いて計算しているときは右脳が使用されているそうです。
右脳が何かをイメージする能力(想像力)や何か新しいものを考え出す能力(創造力)を主に司ることを考えると、個人差はありますが、そろばんを習うことで右脳が繰り返し使われて強化され、想像力と創造力が上がると言えます。
参照: 河野貴美子先生(1) | 日本珠算連盟|そろばん・暗算で脳トレ、ソロバンは集中力のつく習い事 (shuzan.jp)
判断力や情報処理能力が高まる
そろばんでは、多くの羅列されている数字を一度に処理・判断することが求められます。その際には数字を右脳で読み取って暗記し、左脳で正確に数字に変換・計算していきます。
このようにそろばんを学ぶと、右脳だけでなく左脳もバランスよく使われるので、情報処理能力や判断力などの向上を期待できるのです。
そろばん教室の選び方
ここでは、お子様をそろばん教室に通わせるうえで気を付けるべきポイントを4つ紹介します。
・通いやすいかどうか
・自分の目標と教室の目標があっているか
・教室の授業スタイルがあっているか
・月謝と授業のバランスを考える
通いやすいかどうか
そろばん教室に通いやすいかどうかはとても重要です。なぜなら、通いやすい場合とそうでない場合では、授業へのモチベーションに大きな差が出てしまうからです。
通いやすさには、距離的な通いやすさと時間的な通いやすさの2つの通いやすさがあります。
まずは、距離的な通いやすさについてですが、距離的な通いやすさを良くするには、自宅から近いか、または自宅からアクセスしやすい場所にある教室を選べば良いでしょう。
次に、時間的な通いやすさですが、問題が起きやすいのはどちらかというとこっちです。時間的な通いやすさを良くするには、生徒の予定にあった授業予定を組める、または好きな時間に授業の振替を行える教室を選べば問題ありません。
しかし、授業予定を教室側が一方的に決めてしまう場合だけでなく、毎週同じ曜日の同じ時間帯に固定されてしまう場合など様々な問題がよく見られます。そのため、検討しているそろばん教室について事前に調べておくのが良いでしょう。
自分の目標と教室の目標があっているか
そろばん教室は大きく、珠算検定取得を目標にしている教室と暗算検定取得を目標にしている教室、そろばんの扱い方を学ぶことを目標にしている教室の3つに分けられます。
自分の目標と教室の目標が一致している場合は授業への意欲、理解度が高まりますが、もしそうでない場合は授業の方向性がずれているように感じ、授業への意欲、理解度が低下してしまうなどの問題が起きる可能性があります。
ですので、検討している教室のホームページなどからその教室の目標を事前に調べておくのが良いでしょう。
教室の授業スタイルがあっているか
教室の授業スタイルは生徒の授業に対するモチベーションを大きく左右します。
実際、生徒が楽しめるような教室であれば、授業への意欲、理解度が高まるだけではなく、そろばんを継続して学ぶ確率が上がるといった様々なメリットがあります。
逆に、生徒が楽しめないような教室であれば、上に述べたメリットの逆、すなわち、授業への意欲、理解度の低下、そろばんを継続して学ぶ確率が下がるといった様々なデメリットがあります。
以上からも分かるように、生徒が楽しめる授業スタイルの教室を選ぶことは重要ですが、生徒が楽しめる教室といっても、どのような授業スタイルであれば楽しめるかは生徒によって当然異なります。
ですので、まずは無料体験などに行き、お子様に授業の感想を聞いてみるのが良いでしょう。
月謝と授業のバランスを考える
そろばん教室を選ぶ際には、毎月通うのに必要な月謝と受けられる授業のバランスを考えることも大切です。月謝が安価でも授業が生徒に合っていなかったり、中身が伴っていなかったりしては、そろばん教室に通わせる効果が十分に得られません。また、月に開催される回数や1回あたりの授業の長さによっては、月謝が割高になる可能性もあります。
その他にも一部上記の選び方でも紹介しましたが、授業の振替ができるか、教材の購入は必要かなど確認すると良いでしょう。これらを総合的に判断して、それぞれに合ったそろばん塾を選択してください。
そろばん教室の月謝
そろばん教室の月謝の全国の相場は4,000~12,000円で、東京の平均月謝は、週に3回、各1時間の授業で6,000円となっています。
全国の相場が幅広い原因としては、週の授業回数や各授業時間が挙げられますが、それだけではなく、設備費や教材費などが月謝に含まれているかどうかも挙げられます。
そのため、月謝が安くても、設備費等が別途請求されてしまい、結果的に費用がかさんでしまう場合などもあります。
ですので、もしお子様をそろばん教室に通わせることを検討しているようであれば、月謝に設備費や教材費が含まれているかどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。
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