九九は6・7・8の段で誤答率が高い
ベネッセ教育総合研究所は、2007年と2013年の2回にわたり、全国の公立小学校15校の1年から6年生約7,800人を対象に、計算力テストとアンケート調査を実施しました。それらを基に、小学生の計算力の実態と算数に対する意識を明らかにしています。
計算力テストの結果から、間違えやすい九九が「6・7・8の段」に集中していることが分かりました。6の段では「6×3」、7の段や8の段では「×2」の段階で正答率が低くなり、半数以上においてミスが目立ちます。九九全体では、1の段はほぼ100%の正解率ですが、2の段以降では4・7・8を掛ける計算で正解率が低くなる傾向が明らかになりました。
そこで、正確に覚えられない理由について、以下で解説します。
参照元:小学生の計算力に関する実態調査2013|ベネッセ教育総合研究所
九九が覚えられない5つ理由
九九を覚えられないのは、いくつか理由があり、覚え方のどこに問題が潜んでいるのかを知っておくことが大切です。ここでは、九九がなぜ覚えられないのかその理由について解説します。
主な理由は、以下の通りです。
- 暗記する量が多い
- 数字の読み方が普段と違う
- 6の段から難しく感じられる
- 数字の読み方が似ている箇所がある
- 積の数字が大きくなる
1.暗記する量が多い
子どもにとって、81もの掛け算の暗記は、量として非常に多いでしょう。しかも、足し算や引き算とは仕組みが異なるため、間違いに気づきにくく、意味を理解しないまま覚えるしかありません。
1の段は9つの掛け算がありますが、掛ける数がそのまま積(掛け算の答え)になるため、暗記しやすい子どもが多いです。それでも残り72を覚えなければいけないため、モチベーションの維持が難しくなり、覚えられなくなるのです。
2.数字の読み方が普段と違う
九九は、「いんいち」「さざん」など独特の言い回しがあり、数字の読み方が普段と違うため、覚えにくいということがあります。同じ数字であっても、3の段では「さん」「さ」「ざん」「さぶ」、8の段でも「はち」「は」「ぱ」といくつもの読み方が混在しているのです。
また、積が一桁の場合に「が」がつき、積が二桁になる場合には「が」は不要になるといった点も、覚えにくくさせています。普段の読み方と違い、言い回しが統一されていないため、子どもを戸惑わせているのです。
3.6の段から難しく感じられる
2・5の段は規則性を捉えやすく、覚えやすい傾向にあります。しかし、6の段以降は積の数字が微妙に異なるため、難しく感じられるのです。例えば、6の段「6・12・18」、7の段の「7・14・21」、8の段の「8・16・24」など、一桁めの数字の増え方に規則性を見つけられません。
しかも、十の位が同じでも2種類の九九が存在することも、難しく考えられる理由の1つです。微妙に異なる数字を暗記すると混乱を招きやすく、覚えにくくなるといえます。
4.数字の読み方が似ている箇所がある
九九では、4(し)と7(しち)、7(しち)と8(はち)のように、数字の読み方が似ている箇所がいくつかあり、覚え間違いが起こりやすいです。例えば、4×8を7×8=56、8×6を7×6=42と混同してしまうケースが該当します。特に、7の段が覚えにくいのは、4もしくは8と混同する傾向が高くなるためです。
加えて、読み方が似ているために、数が連続している場合に発音しにくくなります。例えば、「ししち」「しちし」「しちはち」などです。数字の読み方が似ていると、覚え間違いが起きやすくなり、発音もしにくくなるため、特定の段(7の段)が覚えにくくなるのです。
5.積の数字が大きくなる
1から3の段では、数字自体が小さく積の数字も大きくありません。答えが分からなくなっても、足し算で求めることが比較的容易にできます。しかし、段が進むにつれて、積の数字が大きくなり、とっさに前の積から暗算するのは困難になるでしょう。
そのため、交換法則が成り立つ九九で間違える傾向にあります。例えば、6×8=48、8×6=48をどちらも42としたり、6×7=42は正解できても7×6=48とするケースです。また、積の一の位を掛ける数と掛けられる数のどちらかと同じにする(8×6=48を46など)ケースもあります。積の数字が大きくなることで、計算しづらくなり、正確に覚えられなくなるといえるでしょう。
九九が覚えられない子どもが見直したい学習のポイント
ここまで解説してきたように、子どもが九九を覚えられない理由は必ずあります。覚えられない理由に適した学習法を取り入れると、効率的に覚えることができるでしょう。
学習のポイントは、以下の通りです。
- 九九一覧表に読み方を記入して音読する
- 暗記カードを活用する
- 掛け算の仕組みを理解する
- ランダムな問題に取り組む
1.九九一覧表に読み方を記入して音読する
数字の読み方に戸惑う場合は、九九一覧表に読み方を記入し、ゆっくり音読するようにしましょう。発音しにくい箇所に関して、適当にそれらしくごまかしてしまう恐れがあります。
曖昧なまま覚えると、修正しにくくなるケースも少なくありません。九九はできるだけ早く暗唱することを求めがちです。正しく読めるようになるまでは、逆効果なのでおすすめできません。正しい読み方を覚えるまで、九九一覧表に記入した読み方をゆっくり読み上げることが大切です。
2.暗記カードを活用する
特定の九九が覚えられない場合は、暗記カートの活用がおすすめです。その問題と前後の問題を合わせた3つをひとまとまりとして、集中的に覚えるようにします。九九を覚えるには、九九の式(2つの数字)を見た瞬間に答えが思い浮かぶようにすることが大切です。暗記カードを使い、苦手な箇所をできるだけ速く解答することを繰り返すことで、確実に覚えることができます。
3.掛け算の仕組みを理解する
九九の覚え方として、リズミカルに暗記するのは良い方法です。九九で大切なことは、早口で言えるや丸暗記することではなく、掛け算の仕組みを理解することです。
掛ける数が1つ増えると、積はどのように変化していくのかといった決まりごとを考えます。5の段は0と5の繰り返しになる、8の段は8・6・4・2・0を繰り返すなどを発見できれば、その決まりを使って覚えていくことが可能になります。掛け算の仕組みを理解し、応用していく力は、九九の暗唱に非常に役立つでしょう。
4.ランダムな問題に取り組む
九九を覚えるときによくあるパターンの1つに、1の段からでないと思い出せず、途中からだと積が浮かばないケースが挙げられます。九九の流れを一通り暗記した後は、ランダムな問題にも答えられるようにすることも重要です。九九の逆順に問題を出すのも良いでしょう。親が問題を出して、一緒に取り組んでみてください。分からない問題があれば、九九一覧表を見てその段を読み上げます。順番で覚えるだけでなく、どの段でも式を見ただけで、即答できるように鍛えていきましょう。
どうしても九九が覚えられない場合の対策
様々な方法を試してみても、どうしても九九が覚えられないということもあるでしょう。子どもが九九でつまずいている姿を見ると、どうしたら良いのか分からないと悩む方が多いです。そのような場合は、有効な対策を考える必要があります。
ここで紹介する九九が覚えられない場合の対策は、以下の2つです。
- ゲーム要素を取り入れる
- そろばん教室でカバーする
1.ゲーム要素を取り入れる
九九を覚えられないのは、九九が分かる楽しさを感じていないからかもしれません。楽しく取り組むには、ゲーム要素を取り入れるのが対策の1つです。日頃の会話の中に九九を意識して問題を出したり、九九アプリを使ったりするのも良いでしょう。
覚えた九九から九九一覧表にシールを貼っていくと、進度が分かり、意欲を引き出すことにもつながります。子どもが好むゲーム要素を取り入れ、意欲的に取り組めるような環境を整えていきましょう。
2.そろばん教室でカバーする
九九を覚えるには、モチベーションの管理も含めて家庭でのサポートが欠かせません。しかし、子どもが九九を覚えられない理由が分かったとしても、適切な学習方法を親だけで対応するのは大変でしょう。そこで、そろばん教室でカバーする方法がおすすめです。
そろばん教室では、数字のプロともいえる講師が指導にあたります。九九の習得にあたって、子どものレベルに応じ、順序立てて指導してくれる点がメリットです。しかも、九九は覚えれば完結というわけではなく、本格的な掛け算や割り算に応用できなければいけません。つまり、九九を暗記させるのが目的でなく、その先に必要となる能力を伸ばすことにあります。家庭で九九の暗記を進めながら、そろばん教室でカバーし、さらにブラッシュアップしていきましょう。
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