5歳までに身に付けておきたい算数のレベルとは
東京家政大学研が発表したデータによると、5歳児の90%が「3+2」の計算ができることがわかっています。ここでは、5歳までに身に付けておきたい算数のレベルについて詳しく紹介します。ポイントは以下の4つです。
- 10までの数が理解できる
- 数字の大小を理解できる
- 数字の読み書きができる
- 簡単なたし算ができる
10までの数が理解できる
子どもが最初に認識するのは、数字の形です。「1~10」といった数字の形が分かるようになるのは、2~3歳頃とされています。また、この時期には「いち、に、さん」と声に出して数字を読めるようになります。
数字の大小を理解できる
3~4歳頃になると、数字の大小を理解できるようになり、「1、2、3」と順番に数えられるようになります。また「3と7ではどちらが多いですか?少ないですか?」といった算数の問いにも徐々に答えられるようになります。
数字の読み書きができる
数字の読み書きができるようになる年齢は、人によって差があるものの平均3〜5歳頃と考えられています。なお、3歳では「 1 」以外の数字を書くことは困難であるものの、4歳では過半数の子どもが数個の数字について書くことができるようになり、5歳では「 0 」から「11」までのすべての数字を6割以上の子どもが書けるようになると言われています。
簡単なたし算ができる
5歳頃から多くの子どもが簡単なたし算ができるようになります。これは、数に関するさまざまな概念を頭のなかでまとめられるようになるためです。
特に数字の大小を理解し、数字の読み書きができているなら、足し算を始めるチャンスです。まずは、簡単な1~9までの数字を使って、繰り上がりや繰り下がりのないたし算の練習を始めてみましょう。
5歳で足し算ができるようになるには?
数の基礎は、3歳頃から育まれ、5歳頃には基礎の大体の部分を身につけていきます。すなわち、5歳で足し算ができるようになるには、以下に挙げる力を必要とします。
- 数の概念を理解している
- 数字を2つ以上の数に分解できる
- 足し算の計算方略を身につける
ここでは、それぞれどのような力なのか解説します。足し算を教える前に、お子様の状況を確認することから始めましょう。
1.数の概念を理解している
5歳で足し算ができるようになるためには、数の概念を理解していなければなりません。足し算は、2つ以上の数字を加えた総量であるため、数字の識別と数量の理解といった概念が必要になるためです。
発達的に、5歳前半には5までの数、5歳後半には10までの数字と数量を一致させることが可能になり、5歳代に数の概念を獲得するといわれています。数を数えられるだけでなく、物全体の多い・少ないといった量から、数そのもの量、数字の意味を捉えられる力が身についてこそ、足し算ができるようになるのです。
参考文献:田中昌人/田中杉恵『子どもの発達と診断5幼児期Ⅲ』大月書店
2.数字を2つ以上の数に分解できる
足し算ができるようになるためは、数字を2つ以上の数に分解できる力も必要です。足し算は、数字を単純化させるほど、理解しやすいためです。特に、繰り上がりが必要となる足し算は、分解させることで格段に理解が早まります。
例えば、9+8 の問題では、8を1と7に分解させ、(9+1)+7 のように10を基準として考えるという具合です。数が大きくなるほど、計算の過程で、繰り返し分解が必要になります。そのため、足し算ができるようになるためには数の分解が不可欠です。
参考文献:健常児における 1 桁同士の足し算の獲得過程|永友真紀|国際医療福祉大学
3.足し算の計算方略を身につける
足し算ができるようになるには、足し算の計算方略を身につける必要があります。計算方略というと難しく感じるかもしれませんが、決してそうではありません。足し算の計算方略とは、足し算の和を出すための方法です。5歳の子どもの計算方略には、以下のようなものが挙げられます。
- 全て数える(count-all)
- 大きい数から数える(min strategy)
1.全て数える(count-all)
足し算の数字を全て1から数えて、和を導くという方略です。例えば、3+2の場合では、「イチ・ニ・サン」と「イチ・ニ」があることを認識し、「イチ・ニ・サン・シ・ゴ」と数えます。この方法は、それぞれの数字の量を捉えた方が分かりやすい段階の子どもにおすすめです。
2.大きい数から数える(min strategy)
足し算の数字のうち、大きい数字に小さい方の数字を足して和を導くという方略です。 例えば、5+2の場合では、「ゴ・ロク・シチ」と数えます。大きい数字を1から数える必要がないため、計算にかかる時間を節約できます。
参考文献:健常児における 1 桁同士の足し算の獲得過程|永友真紀|国際医療福祉大学
5歳の子どもへの足し算の教え方
ここでは、5歳の子どもへの足し算の教え方について解説します。子どもの理解度に合わせて、少しずつステップアップさせるのが基本です。以下のように進めていくと、効率的に学ぶことができます。
- 和が10未満になる小さな数の足し算から始める
- 和が10になる数の組み合わせを覚える
- 大きい数から数えて和を出す
1.和が10未満になる小さな数の足し算から始める
まず、和が10未満になる小さな数の足し算から始めましょう。5歳は、数の概念を獲得する時期ではありますが、いきなり繰り上がりのようにテクニックを必要とする足し算は難しいです。足し算のつまずきは、初めの段階でもみられます。そのため、できるだけ小さな数の前後を入れ替えながら、繰り返しましょう。子どもに「足し算は簡単」と感じさせることが重要です。
大きい数から数えて和を出す
すでに紹介した通り、足し算は大きい数から数えて和を出すのが効率的です。足し算を始めて、2つの数に差が開いてきたら、大きい数から数えるやり方を示してあげると良いでしょう。
2.和が10になる数の組み合わせを覚える
次の段階では、和が10になる数の組み合わせを覚えます。これは、繰り上がりを理解するために必要なためです。
10になる組み合わせは、以下の10通りです。
1と9・2と8・3と7・4と6・5と5・6と4・7と3・8と2・9と1・10と0
セットにして、機械的に覚えるのがポイントです。これを覚えることで、繰り上がりの計算が分かりやすくなります。筆算にも役立ち、その後の10進法、さらに中学受験にも役立つ2進法やN進法の基礎になる考えでもあるため、しっかり身につけましょう。
3.1桁同士の数で繰り上げがある足し算に進む
小さな数の足し算と、和が10になる数の組み合わせを覚えた後は、1桁同士の数で繰り上げがある足し算に進みましょう。
具体的には、7+4 の問題では、すぐに子どもに解かせるのではなく、親が「(7+3)+ 1」と式を直してあげることから始めます。どこにミスがあるのか見直しが容易になるでしょう。
5歳の子どもに足し算を教えるポイント
ここでは、5歳の子どもに足し算を教えるポイントを紹介します。教えるポイントはいくつかありますが、特に重視したい点は以下の通りです。
- 子どもが指で足し算をしても無理にやめさせない
- 数がイメージしやすい具体的なモノを使う
- 数が学べる玩具を利用する
- 計算ドリルやプリントを活用する
- そろばんを使って計算する
1.子どもが指で足し算をしても無理にやめさせない
子どもが指を使って足し算をしていても、無理に止めさせないことがポイントです。足し算を始めたばかりの子どもは、指を折って計算することが見られます。指を使うことで、数が視覚化され、子どもにとっては分かりやすい方法なのです。
広島大学大学院教育学研究科の准教授である杉村伸一郎氏が発表した調査によると、子どもの頃、指で足し算をしていた人は7割近くいるものの、ほとんどは小学校3年生までにやめていることが分かっています。また、同調査では教育の観点から指を使った計算を注意しない親や教師は少なくないことも報告されています。
たとえ足の指まで使ったとしても、計算できるのは最大20までですから、子どもも不便さに気づいていくのでしょう。無理に止めさせて、足し算へのやる気を失くしてしまう方がデメリットは大きいのです。
足の指まで使ったとしても、計算できるのは最大20までですから、子どもも不便さに気づいていくでしょう。無理に止めさせて、足し算へのやる気を失くしてしまう方がデメリットは大きいです。
2.数がイメージしやすい具体的なモノを使う
足し算を教える上で、数がイメージしやすい具体物を利用するのも1つの方法です。子どもが指を使うように、頭の中で数が増えていく様子をイメージすることができません。興味を引くようなキャンディやおはじきなどを利用し、実際に数を数えさせることで、理解を促しましょう。
3.数が学べる玩具を利用する
足し算を教える際に、数が学べる玩具を利用するのも良いでしょう。ゲーム感覚で学べる学習玩具には、様々なタイプがあり、多数販売されています。子どもの取り組みを見守りつつ、なぜ間違えたのか問いかけたり、別の方法に応用したりと、働きかけることも必要です。一緒に楽しみながら、教える姿勢が大切になります。
4.計算ドリルやプリントを活用する
計算ドリルやプリントを活用することも、足し算には効果があります。解きやすい問題から難度が上がっていくため、学習レベルが分かりやすい点が特徴です。足し算は、繰り返し解くことにより計算力が定着するため、より多くの経験が効果につながります。ドリルやプリントと具体的なモノを組み合わせるなどして、理解が進むようにしましょう。
5.そろばんを使って計算する
そろばんを使って、計算するのも有効な方法です。そろばんは、五珠が1個、一珠が4個で構成されています。珠の動きを見ながら計算するため、数字の増え方を明確に理解できるのです。また、そろばんで計算することで、5や10の分解が機械的に(暗算で)できるようにもなるため、2桁の足し算も容易になります。
ただ、そろばんを教えられる家庭は多くはありません。そのような場合には、そろばん教室で学ぶことを検討してみてください。
5歳の子どもの計算力を高める習い事
5歳の子どもの計算力あを高める習い事には、「学習塾」「通信教育」「そろばん」の3つがおすすめです。ここでは、それぞれの習い事の特徴やメリット・デメリットについて紹介します。
メリット | デメリット | |
学習塾 | 小学校の授業を先取りできる
学習習慣が定着する |
授業料が高い |
通信教育 | 基礎学力が身につく
送迎の必要がない |
学習環境を整える必要がある
子どもによって向き不向きがある |
そろばん | 計算速度や計算の正確さを高められる
友達や仲間をつくれる |
教室によって指導内容や検定難易度が異なる |
学習塾
学習塾のメリットは、小学校の授業を先取りできるため、授業に対して万全な準備を整えられることにあります。また、学習習慣が定着することも、大きな利点です。
ただし、学習塾の授業料は高額な傾向にあり、週に2回の授業の月学費は、集団指導でおよそ15,000円前後、個別指導ではおよそ25,000円前後となっています。そのため、本当に学習塾に行く必要があるのか、子どもの学習意欲や予算をしっかり検討することが重要です。
通信教育
通信教育の5歳児向けカリキュラムの多くは、たし算・ひき算のベースとなる「数の概念」を1年間かけてじっくり理解できる内容で構成されています。そのため、小学校入学までに必要な基礎学力が身に付き、その後の学習もスムーズに進められます。
ただし、通信教育を受けるためには、オンラインの学習環境を整える必要があり、通信教育によっては、タブレットなどの専用端末を購入する場合もあります。また、子どもによってはオンラインの学習に飽きてしまったり、身近に先生やお友達がいないことでモチベーションを保ちづらかったりと、向き不向きがあります。
そろばん
そろばん塾は、計算力を高める習い事として広く知られていますが、特に計算速度や計算の正確さを高められるといった魅力があります。また、9桁同士のたし算やひき算、3桁同士のかけ算など、答えが大きくなるような高度な計算も、そろばんを学ぶにつれて暗算できるようになります。
さらに、そろばん塾に通うことで、お子さまの年齢に近い子どもや同程度の計算レベルの子どもと出会えることもメリットです。そろばんを通じて友達を作ったり、競争心が芽生えて切磋琢磨し合ったりといった、通学ならではの効果も得られます。
ただし、そろばん教室によって指導内容や検定の難易度は異なるため、お子さまの目的や学習レベルに適した教室を選ぶ必要があります。
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