小学2年生になると、いよいよスタートする「かけ算」。
かけ算といえば、九九の暗記を思いうかべる人も多いかもしれませんね。
しかし、おぼえてしまえばそれでよいというわけではなく、かけ算のしくみを理かいしてから、九九をおぼえたほうが、文しょう問だいで式を考えるときにも役立ちます。
今回は、そのかけ算について見ていきましょう!
1.かけ算って何?~かけ算(掛け算)の定義~
1年生でべんきょうしてきた「たし算」は、
となります。
これを図にすると、
というように、「2こ」と「3こ」をあわせて、1つのまとまりにします。
一方、「かけ算」の問だいでは、
となります。
これを図にすると、
このように、「3こずつ」が「5こ」あるので、
ということになります。
正しい式ではありますが、たし算を4回もしなくてはいけないので、まちがえやすくなりますし、計算に時間がかかります。
学校では、「算数は、『は(早く)か(かんたん)せ(せいかくに)』を目指しましょう」と教わります。
そこで、かけ算の登場です!
「3このまとまり」が「5こ」と考えて、
となります。
計算は1回なので、「はかせ」になり、スッキリした式になりました。
九九を覚えるのは、この計算をするためです。
「×(かける)」の前の数を「かられる数」
「×(かける)」の後ろの数を「かける数」と言います。
小2の九九の理解度はほぼ100%
学年と学習内容 |
かけ算の正答率 |
2年生 整数 |
97.4% |
3年生 整数 |
84.9% |
5年生 少数 |
86.5% |
6年生 分数 |
88.5% |
ベネッセコーポレーションが9,000人(小学校1年生から6年生)を対象に行った小学校の計算力に関する実態調査によると、小学校2年生の九九のかけ算の正答率は97.4%です。ほぼすべての子どもが九九を理解できていると言えるでしょう。
一方で小学校3年生のかけ算の正答率は84.9%と大きく割合が下がります。3年生のかけ算の問題は九九に加えて、2桁×2桁や1桁×3桁のかけ算に範囲が広がるので、基礎がしっかりと理解できている必要があります。
7の段以降でつまずく子が多い
ベネッセ総合研究所が行った九九に関するアンケート調査によると、7の段以降でつまずく子どもが多いことが分かりました。6の段までは約78%が「暗記できた」の回答に対して、7の段では「暗記できた」の回答は約57%と半数のみです。7の段でつまずく子どもが多い理由としては、九九を唱えて覚えるときに「しち」「し」「しちし」と音が似ていて混同してしまうことが挙げられます。また、数が大きくなると無意識に難しいと感じてしまうようです。
そのため、挫折して九九から離れてしまわないように、親が一緒になって覚えられるようにサポートしてあげましょう。また、かけ算に苦手意識があることで、その後の算数にも苦戦する恐れがあるので、苦手意識を持たないようにすることも大切です。
2.かけ算のきまり
かけざんの式には、きまりがいくつかあります。その中で4つ、覚えておくとよいものを紹介します。
2-1.かける数とかけられる数で数字のいみがちがう
かけ算では、「まとまりの数×いくつ分=全体の数」で計算します。
「まとまりの数」は、先ほどのカゴに入っているリンゴの数(3こ)と同じです。
例を見てみましょう。
このように、かける数とかけられる数でいみがちがいます。
文しょう問だいで式を立てる時には、十分気をつけましょう。
2-2.かける数とかけられる数を入れかえても「答えは同じ」
このように、ならべ方がかわるだけで、りんごの数は同じです。
かける数とかけられる数を入れかえても答えが同じことを「こうかん法そく」と言います。
この考え方は、九九の答えをわすれてしまった時にも、やくに立つのでおぼえておきましょう。
2-3.たし算とひき算が混じっている式もかけ算を先にする
かけ算にたし算とひき算が混じっている式では、かけ算を先に計算します。
たとえば、1つ50円のりんごを3個買って、500円出したときのおつりの計算は次のようになります。
例:500円ー50円×3個=500円ー150円=350円
このようにかけ算にたし算やひき算が混じっている式の場合、かけ算が後ろにあっても先に計算します。
2‐4.()があるときには()の中から計算する
計算する式の中に()があるときには、()の中から計算するきまりがあります。
これはかけ算やたし算、ひき算に関わらず、計算式の共通的なルールです。
例:100×(50-10)=100×40=400
このようにかけ算にたし算とひき算が混じっている場合でも、()の中から計算した後にかけ算をします。
3.かけ算(九九)の覚え方
ここまでかけ算のきまりについて説明してきました。次に、かけ算(九九)の覚え方をいくつか紹介していきます。かけ算は意味はもちろん、基本となる九九はしっかりと覚えておくことが大切です。
九九の覚え方は歌やポスター、普段の生活に取り入れるなど、抵抗感なく楽しく取り組むと覚えやすいです。
- 覚えやすい段から覚えていく
- 声に出して九九独自の言い回しに慣れる
- ポスターや表を壁に貼って何度も読む
- 普段の生活でも九九を意識する
- かけ算ゲーム(九九)
九九の覚え方についてはこちら
1.覚えやすい段から覚えていく
九九を覚える際には、覚えやすい段から覚えていくと良いでしょう。必ずしも1の段から順番に覚えなければならない訳ではありません。特に冒頭で紹介した通り、7の段でつまづく子どもが多いので、難しければ8の段や9の段などを先に取り組んでみてください。段々と完璧に言える段を増やしていくと、子どもも楽しくて継続して取り組めます。
2.声に出して九九独自の言い回しに慣れる
九九には普段使わない独自の数字の言い回しがあります。たとえば、「2、4、6、8」といった数字は、九九では「に、し、ろ、は」と読みます。さらに、2の段では「にしが(2×4)」、3の段では「さざんが(3×3)」、8の段では「はっぱ(8×8)」などの慣れない言い回しも出てきます。これらの独自の言い回しは、繰り返し自分で声に出して慣れていきましょう。
3.ポスターや表を壁に貼って何度も読む
ポスターや表を壁に貼って九九を何度も読む方法も効果的です。九九を覚えるためには何度も繰り返し読むことがとても大切です。まずは九九の表を見ながら声に出して読み、覚えてきたら表を見ないで暗唱します。それも問題なくできたら、ランダムに問題を出して、答えることにチャレンジさせてみましょう。九九表やかけ算表はインターネット上で検索すると、さまざまなテンプレートが出てくるので、自分に合ったものを使うと良いでしょう。
4.普段の生活でも九九を意識する
九九を覚えるためには、九九と日常的に触れ合うことが大切です。普段の生活からかけ算(九九)に触れて、取り入れることを意識してみましょう。たとえば、「5個入りのチョコレートの袋を3人分用意したいけど、チョコレートは何個あったらよいかな?」などと、問題を出してあげます。
5.かけ算ゲーム(九九)
子どもが「九九をなかなか、おぼえられない・・・」というときは、ただ暗記させるだけでなく、ゲームで楽しみながら学んでいきましょう!ここでは、親子で楽しめる方法を3つ紹介していきます。
- 九九でビンゴ!の遊び方
- 百マス計算などの練習問題をする
- 九九の歌を使って体で覚える
5-1.九九でビンゴ!の遊び方
かけ算ゲーム「九九でビンゴ!」の遊び方
① 九九の表から、すきな数字(答えになる数字)をえらんで、ビンゴカードを作ります。
② 遊べる時間がみじかいなら「たて3×よこ3マス」、長めに遊べるなら「たて5×よこ5マス」のように、ビンゴカードのマス目を決めていきます。
③ お家の方が、九九の式をランダムに読みあげます
④ その答えを子どもが言いながら、ビンゴカードに〇を付けていきます。
⑤ たて、よこ、ななめの1列がそろえば、ビンゴになります。
※なれてきたら、①で数字ではなく、かけ算の式を書かせます。
その場合は、③で答えになる数字をランダムで読みあげましょう。
また、ビンゴカードを作るときは、「九九の段と時間」を決めて作らせると、もっとゲーム感かくが出ておもしろくなります。
例えば、「たて3×よこ3マス」のビンゴカードなら、「ビンゴカードは、7の段の数字だけで、30秒いないに作ろう!」といったルールにしてみましょう。
こうしたゲームをお家の方といっしょにすることで、九九を楽しみながらおぼえていくことができるようになりますよ。
5‐2.百マス計算などの練習問題をする
百マス計算を使った練習問題もゲーム感覚で楽しめるのでおすすめです。
小学館の「はじめての 百ます九九」やぷりんときっずの「百ます掛け算プリント」など、有料から無料のものまで、いろいろあります。
百マス計算の遊び方は次の通りです。
- 百マス計算には縦と横にランダムな数字が並んでいます。
- 縦と横の数字をかけた数字を縦横の交わるマスに書きます。
- すべてのマスを埋めたら完成です。
毎日1ページずつ一緒に練習したり、おやつの時間の前の習慣にしたり、やり方を工夫して繰り返し楽しみながら行うと良いでしょう。また、慣れてきたら時間を計って、前日より早く完成できることを目標に行うのもおすすめです。
5-3.九九の歌を使って体で覚える
九九の歌を使って体で覚える方法もあります。九九の歌はYouTubeにも多く紹介されていて、コロムビアキッズTVの「九九のうた」やゆめあるチャンネル「99の歌」など人気の動画で試してみましょう。
遊び方は流れてくる歌に続いて一緒に歌ったり、踊ったりするだけなので、とても簡単です。親子で踊りながら歌ったり、覚えた歌と踊りをおじいちゃんやおばあちゃんなどの前で発表したりするのも、モチベーションが上がるでしょう。
4.まとめ
九九をおぼえることだけに集中してしまうと、「文しょう問だいが苦手・・・」ということにもなりかねません。
九九をおぼえる前に、かけ算のいみをしっかり学んでおくこと。
これがとても大切になります。
時には、図やイラストも使いながら、お子さんが楽しんで「かけ算」をべんきょうしていけるようにサポートしてあげましょう!
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