フラッシュ暗算とは
フラッシュ暗算は、スピードと正確性から世界記録に認定される人がいるなど、トレーニングすることで、高度な計算力が身につくとして人気があります。桁数が小さければ、そろばん未経験の人でもできるでしょう。しかし、桁数が多くなると、そろばん経験がないと暗算が追いつきません。ここでは、フラッシュ暗算とはどのような計算方法なのかを解説します。
珠算式暗算と筆算式暗算の違い
フラッシュ暗算の計算方法を理解するために、珠算式暗算と筆算式暗算の違いを把握する必要があります。
珠算式暗算は、頭の中でそろばんをイメージして計算します。そろばんの珠をはじくように手を動かしたり、頭の中のイメージだけで計算したりと方法はさまざまです。珠算式暗算は、目でとらえた数字を直観的にそろばんの珠に変換する必要があるため、右脳を刺激する計算方法です。
一方で、筆算式暗算は左脳を刺激する計算方法です。学校で習う筆算を頭の中でイメージして計算するため、理論に則った計算過程となります。
同じ暗算でも珠算式と筆算式では、刺激する脳の部分が違います。小さいうちに右脳を刺激することで、非認知能力や記憶力の向上につながり、柔軟な思考をしやすくなります。
フラッシュ式で出題される数字を珠算式暗算するもの
フラッシュ暗算とは、モニターに次々と表示される数字を珠算式暗算で計算するものです。そろばん教室で扱うフラッシュ暗算は、基本的に足し算だけの問題です。
問題としてモニターに映し出される数字は20年の研究を経て、頭の中でイメージしやすい数字が難易度ごとに選定されています。また、数字が表示される時間も難易度ごとに変化して、長い問題で2秒弱、短い問題だと1秒弱に設定されています。
出題される数字の桁数や口数(※表示される数字の個数)、表示時間によって難易度を調整しているため、幅広いレベルの練習者が暗算力向上を図れる画期的なプログラムなのです。
参照元:一般社団法人日本フラッシュ暗算協会|フラッシュ暗算とは
フラッシュ暗算は珠算式暗算の中でも効果がある
フラッシュ暗算は、モニターに表示される数字を次々に足し算していくため、珠算式暗算の中でも計算力向上に抜群の効果があります。
フラッシュ暗算が誕生する1978年以前には、プリントされた数字を計算する見取暗算が主流でした。フラッシュ暗算と同じ珠算式暗算とはいえ、そろばんの珠を一桁ずつはじくイメージをして、計算できます。そして、自分のペースでの計算が可能です。
一方で、問題の数字の表示時間が約1秒~2秒程度のフラッシュ暗算では、一桁ずつ珠をはじくイメージでは答えを導き出せません。表示された数字が2桁以上の場合には、その桁数に関わらず、なるべく早くすべての桁の珠をはじくイメージをする必要があります。また、出題スピードについていけないと解答できないため、フラッシュ暗算は計算スピードアップも期待できます。
フラッシュ暗算の練習を積み重ねていくと、段位になる頃には3桁の数字の5口~10口を暗算できるようになります。フラッシュ暗算を習得すれば、すばやく半自動的に頭の中のそろばんをはじけるようになるため、圧倒的に高い計算力を身に付けられます。
検定試験が実施されている
珠算同様に、フラッシュ暗算にも検定試験があります。
現在、フラッシュ暗算検定を実施しているのは、3団体で出題数や合格基準は次の通りです。
- 全国珠算教育連盟
内容 | 得点 | 合格基準 | ||
段位 | 初段~十段 | 各15題 | 10点/題 | 100点 |
級位 | 1級~20級 | 各15題 | 10点/題 | 100点 |
※段位の一斉実施の場合は、出題数や合格基準が異なります。
- 日本フラッシュ暗算検定協会
内容 | 得点 | 合格基準 | ||
段位 | 初段~二十段 | 各10題 |
― |
7問正答 |
級位 | 1級~20級 | 各10題 |
― |
7問正答 |
- 日本珠算連盟
一般公開の情報なし。
フラッシュ暗算検定受験者数は、就学前の子どもから一般まで130万人を突破しています。就学前の子どもの最高位は九段です(2022年10月12日現在)。
参照元:公益社団法人全国珠算教育連盟|フラッシュ暗算検定試験
フラッシュ暗算の効果・メリット
右脳を刺激して記憶力をアップさせたり、頭を柔らかくしたりする珠算式暗算ですが、フラッシュ暗算ではプラスαの効果を感じられるでしょう。
フラッシュ暗算によって得られる効果は、次の2つです。
- 計算を早く正確にできる
- 集中力が高まる
また、ペーパーテストの珠算や暗算の練習とは異なり、ゲーム感覚で計算力をアップできる点はフラッシュ暗算のメリットです。
フラッシュ暗算で得られる効果やメリットについて、解説します。
計算を早く正確にできる
フラッシュ暗算では、計算の早さと正確さを同時に磨けます。
ペーパーテストで行う見取暗算では、制限時間内であれば自分のペースで計算ができ、計算ミスをしたとしてもやり直しができます。しかし、フラッシュ暗算ではコンピューターに数字が表示されるスピードについていかなければ、最後まで計算できず答えも導き出せません。
フラッシュ暗算を習得すれば、計算スピードと正確さを両立させられるのです。
集中力が高まる
フラッシュ暗算で正答を出すためには、高い集中力が必要です。
約1秒~2秒しか表示されない数字を、もらすことなく5口~10口程度足し算していくのがフラッシュ暗算です。1つでも数字を見過ごした時点で、正答できなくなります。
フラッシュ暗算では、1問ずつ頭をクリアな状態にして、1桁も見落とさないように集中して取り組むことがポイントです。フラッシュ暗算を習得していくごとに集中力が上がり、フラッシュ暗算以外の場面でも効果を発揮するようになるでしょう。
ゲーム感覚でできる
フラッシュ暗算のゲーム感覚で取り組める点は、計算力をアップさせる手段の中でもとりわけ大きなメリットです。昨今、フラッシュ暗算のアプリやゲームもリリースされるほど、ゲーム感覚で取り組めるカジュアルさも魅力的です。
成長度合いが点数として可視化されやすいため、前の自分と比較したときに成長を感じられやすく、短時間で取り組める点もゲーム感覚で取り組みやすい要因のひとつでしょう。
フラッシュ暗算のやり方
フラッシュ暗算は、モニターに表示された数字を頭の中のそろばんに瞬時に置いて、次々に表示される数字をはじくイメージをしながら計算していきます。
フラッシュ暗算の練習は、以下の手順で進めましょう。
- 頭の中でそろばんを動かしてウオーミングアップする
- 同じレベルの計算を複数回繰り返す
- すべての計算結果と感想を記録する
1.頭の中でそろばんを動かしてウオーミングアップする
まず、頭の中でそろばんを動かしてウォーミングアップしましょう。スポーツを始める前に、軽く体をほぐすことと同じような考えです。現在のレベルより落として、少しずつスピードアップさせましょう。正解にこだわる必要はありません。ここでは、あくまでも頭の中を暗算仕様に切り替えるのが目的です。
2.同じレベルの計算を複数回繰り返す
自分の級位や段位と同じレベルの問題を、複数回繰り返します。検定試験の場合、約70%程度の正答率が合格基準となっています。練習問題5問のうち4問正解できたら、レベルを引き上げるようにしましょう。
正答率が思わしくないのであれば、同じレベルを反復して解いたり、レベルを落としたりして難易度を調整してみてください。実力に対して問題の難易度は少し余裕をもたせ、正確性を重視して取り組みましょう。
3.すべての計算結果と感想を記録する
練習の際には、必ずすべての計算結果を記録しましょう。計算結果の正誤だけでなく、正解できなかった原因の考察がとても重要です。正答と自分の計算結果を比較して、「繰り上がりの計算ミスをした」や「集中力が切れてしまい、頭の中のそろばんを瞬時に動かせなかった」など原因を自分なりに考えて、苦手を把握するようにしてください。また、練習の中で工夫した点があれば記録しましょう。
記録をつけて一定期間の経過後に見返すと、練習データを客観的に分析できます。また、時間を置いて分析をすると、練習の良い点や上手くいかない点、自分自身の計算の癖に気づけるでしょう。気付いた点は、新たな練習に反映させるようにしてください。
フラッシュ暗算を上達させるコツ
ここまで、フラッシュ暗算のやり方を紹介しましたが、手当たり次第に練習しても効率的に上達することは困難です。次にフラッシュ暗算を上達させるコツを解説します。
フラッシュ暗算上達のコツは、以下の4点です。
- そろばんの計算に慣れる
- 数字を見た瞬間に珠を置いた状態を思い浮かべる
- 集中力が切れたら休憩をはさむ
- 反復練習を継続する
1.そろばんの計算に慣れる
まずは、そろばんの計算に慣れるようにしてください。珠算の習得は、フラッシュ暗算で最も大事といっても過言ではないです。
一桁同士の計算や、口数の少ない2桁の計算であれば、頭の中のそろばんを使わなくても計算ができる人もいるでしょう。しかし、数字の表示スピードが速くなったり、口数が多くなったりすると、途端に計算ができなくなります。
フラッシュ暗算を通じて計算力を身に付けるためには、考えなくても指がそろばんの珠をはじける程度まで、そろばんを使った計算に慣れるようにしてください。
2.数字を見た瞬間に珠を置いた状態を思い浮かべる
そろばんを使った計算に慣れれば、珠算式暗算ができるようになってきます。フラッシュ暗算では、表示された数字を瞬時に頭の中のそろばんに反映させることが早く計算するコツです。
理想的な計算方法は、珠を1つずつ動かさずに複数の珠を同時に動かせることです。1口目や繰り上がりのない計算では効果的な方法ですが、繰り上がりのある足し算だと珠の動かし方を誤って計算ミスに繋がったり、途中で混乱して最後まで計算できなくなったりと逆効果になるケースもあります。
フラッシュ暗算の上達のコツは、頭の中のそろばんに一気に珠を置ける数字と珠を動かすイメージをすべき数字を見極めながら、なるべく早いスピードで数字を足していくイメージをできるようにすることです。
3.集中力が切れたら休憩をはさむ
フラッシュ暗算では、集中力が切れてきたときに休憩をはさむことも大切です。モニター画面を見続けて目を酷使するため、想像以上に疲れています。
集中力が切れると注意が散漫になり、練習の効果を上げられません。適度に休憩をはさみ、気分転換をした方が結果的に効率が上がります。
4.練習を継続させる
フラッシュ暗算上達のコツは、継続して練習をしていくことです。始めのうちは、一桁で口数の少ないレベルを続けていきます。
うまくいかないときは、集中力が切れてたり、珠算の基礎ができていなかったりする可能性があります。休憩を入れたり、珠のはじき方を見直したりしましょう。上手くできる日ばかりではありませんが、練習を継続するうちに、安定して正解できるようになります。
そろばんや暗算は、継続していけば必ずできるようになります。正解率が高くなったら、桁数や口数を徐々に増やしていくようにしましょう。高い目標を立て、コツコツと練習を継続することが大切です。
フラッシュ暗算を習得する方法
ここでは、フラッシュ暗算を習得する方法を紹介します。習得する方法は、以下の2つです。どちらの方法もすぐ取り組むことができます。ぜひ参考にしてみてください。
- 自宅でソフトを使って練習する
- そろばん教室で学ぶ
1.自宅でソフトを使って練習する
フラッシュ暗算は、スマホやパソコンのソフトを使って練習することで、自宅学習での習得が可能です。使用するソフトは、日本フラッシュ暗算協会の公式ソフトをおすすめします。単にゲームとして楽しむのではなく、フラッシュ暗算の技術を身につけられるよう設計されているためです。
公式ソフトには、iPhone・iPadやパソコン用アプリ、ニンテンドー3DS・DS用ソフトがあり、初心者から学べるものから公式検定のレベルに相当するものまで揃っています。無料のお試し版もあるので、自宅学習に取り入れると良いでしょう。
2.そろばん教室で学ぶ
フラッシュ暗算は、そろばん教室で講師の指導によって学ぶのがおすすめです。すでに解説したように、そろばんの基礎技術を学び、珠算式暗算を身につけてから、フラッシュ暗算に取り組む方が格段に上達します。
珠算式暗算は頭の中のそろばんを動かすことですが、しっかり身につく過程で、頭の中でそろばんを想定し、実際に指を動かして計算します。こういったことは、そろばん教室でなければ学ぶことができません。
また、一緒に学ぶ友達がいることで、モチベーションもアップするでしょう。フラッシュ暗算を効率的に習得するには、そろばん教室で学ぶ方法が最も有効といえます。
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- 知的好奇心
- 物事を素早く正しく読み取る力
- 数字に対する強さや慣れ
- 集中力
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